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その2.ごりょんさんが立役者

ごりょんさんが水炊きの発展に貢献

西洋料理と中国料理をヒントに生まれた水たきは、博多を本場として各地に広がり、別名「博多煮」とも呼ばれました。ちなみに「高野豆腐の博多煮」といった、料理界の「博多」とは食材を重ねた切り口が博多帯の縞模様のようになるものを指しますが、水たきの場合は事情が異なります。

さて、水たきが料亭の味として広まった頃は、スープと鶏炊きを楽しむシンプルな料理でしたが、それに野菜などの具材を加えて現在の水たきのスタイルに仕上げたのは、博多のごりょんさんたちでした。
ごりょんさんとは博多の商家の女将さんのこと。表では旦那を立てて裏方に徹し、その実、しっかり旦那の舵取りをして、家を支える肝っ玉母さんたちです。彼女らが「家族にもっと美味しく、滋養のあるものを食べさせたい」と、野菜や豆腐などを加え、家庭料理としてアレンジしました。

この野菜たっぷりの家庭の味が逆に料亭へと取り込まれ、博多の味として親しまれていったのです。 料理は違いますが、「博多大福」の熊本幸子会長(写真右)も、博多を代表するごりょんさんの一人。大阪のうどんすきに水たきのテイストを加え、具だくさんで滋味豊かな「博多うどんすき」を生み出しました。
やっぱり最後はごりょんさん。これが博多の伝統です。

「博多大福」の名物料理〈博多うどんすき〉は、水たきの風味を出すために鶏肉のミンチを使用。風味豊かなカツオと昆布のダシに地元・福岡の山海の幸の旨味が溶け込み、贅沢な味わいをお楽しみいただけます。

博多大福
熊本幸子会長